【保健師・公認心理師監修】ストレスチェック実施義務化の対象が拡大へ/企業担当者が知っておきたい対応策まとめ
- Tatsuya Kubota
- 2月3日
- 読了時間: 4分
はじめに
こんにちは!静岡で開業保健師/公認心理師としてストレスチェックの実施から高ストレス者のカウンセリング、メンタルヘルス研修までワンストップでサポートしている久保田千紘と申します。
現在は1事業場あたり50名以上の事業所が対象となっているストレスチェック制度ですが、2024年10月10日に、「厚生労働省がストレスチェックを全事業所に義務付ける方針を決めた」と報道がありました。
この改正により、これまで努力義務とされていた小規模事業場でも、ストレスチェックの実施が義務化される見通しです。
本記事では、ストレスチェック義務化の背景や目的、具体的な対応策について解説します。
ストレスチェック義務化の背景と目的
背景
ストレスチェック制度は、2015年12月に従業員50名以上の事業場を対象に義務化されました。この制度の背景には、精神障害による労災認定件数の増加や、労働者の約6割が仕事で強いストレスを感じているという現状があります。
特に小規模事業場では、メンタルヘルス対策が十分に行われていないケースが多く、労働者の健康を守るための制度拡充が求められていました。
目的
ストレスチェック制度の主な目的は以下の通りです:
労働者自身がストレス状態を把握し、早期に対処する(一次予防)。
集団分析を通じて職場環境を改善し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ。
高ストレス者への医師による面接指導を実施し、適切な支援を行う(二次予防・三次予防)。保健師・心理師による補足的面談においては高ストレス者にとって、医師面接に比べると、会社への相談内容の報告義務がないことから、相談利用の敷居が低く、利用を促しやすいというメリットがあります。
義務化対象拡大の概要
新たな対象範囲
これまで従業員50名以上の事業場に限定されていた義務化対象が、50名未満の事業場にも拡大されます。この変更により、静岡県内の多くの中小企業や小規模事業場もストレスチェックを実施する必要があります。
小規模事業場への配慮
小規模事業場では、産業医の選任義務がないため、外部機関への委託が推奨されています。また、労働基準監督署への実施結果の報告義務は課されないなど、負担軽減のための措置も講じられています。
静岡県内の企業が取るべき対応策
1. 外部機関の活用
静岡県内では、専門機関がストレスチェックの実施をサポートしています。これらの機関を活用することで、プライバシー保護やコスト削減を図ることが可能です。
2. 社内規程の整備
ストレスチェックの実施にあたり、以下の項目を含む社内規程を整備する必要があります:
実施方法(外部委託か自社実施か)
実施時期と頻度
高ストレス者の選定基準
結果通知の方法とプライバシー保護体制
3. 集団分析の活用
ストレスチェックの結果を集団分析し、職場環境の改善に役立てることが重要です。
ストレスチェックは実施までが義務であり、集団分析結果を職場環境改善に活かしていくことは努力義務となっています。
4. 助成金の活用
ストレスチェックの実施にかかる費用を軽減するため、厚生労働省が提供する助成金制度を活用することを検討してください。
静岡県内の中小企業も対象となる可能性があります。
令和7年度も団体経由産業保健活動推進助成金が予算案に組み込まれており、その対象となる産業保健サービスの中にストレスチェックが入る案が出ています。
ストレスチェック義務化のメリット
1. 労働者の健康維持
ストレスチェックを通じて、従業員が自身のストレス状態を把握し、早期に対処することで、メンタルヘルス不調の発生を防ぐことができます。
2. 職場環境の改善
集団分析を活用することで、職場の問題点を明確化し、労働環境の改善につなげることが可能です。これにより、従業員の満足度や生産性が向上します。
3. 離職率の低下
メンタルヘルス対策が充実することで、従業員の離職率が低下し、優秀な人材の定着が期待されます。
まとめ
ストレスチェック義務化の対象拡大は、静岡県内の企業にとって新たな課題であると同時に、職場環境を改善し、従業員の健康を守る絶好の機会でもあります。
外部機関の活用や助成金制度を活かしながら、計画的に対応を進めましょう。
やりっぱなしで終わらない!静岡県内でのストレスチェック実施および集団分析、高ストレス者フォロー、メンタルヘルス研修に関するご相談は、ぜひ弊社にお気軽にご相談ください。
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